【書籍】建築の森・熊本を歩く

連休に読んだ本。熊本大田中智之先生の初の単著。

熊本市を中心として、35章70点にわたる建築物を探訪語りの形式でさまざまなみどころを解説する一冊。

まず構成が面白い。タイトルに「うつろう」「つむぐ」「のぞむ」といった建築物にまつわる心象のキーワードと、建築物本体(単独または複数)の説明テキスト本文および写真、さらに著者自身によるスケッチでワンセット。本書のどこからでも読めるし、どこから読んでもよい。スケッチは「新宿駅解体」「渋谷駅解体」で名を馳せた著者の手によるものだけあって、構造物の特徴をシンプルなタッチで捉える。

建築という構造物の奥深さを、平易な解説で語りかけてくるので空間素人の自分にもわかりやすい。たとえば

  • 「わかる」水前寺成趣園・熊本県立装飾古墳館
  • 「かさねる」熊本城・熊本県立農業大学校学生寮
  • 「まもる」田中家住宅・牛深ハイヤ大橋

あたりは実際に現地で確認したくなる手触り感の文章。著者とは個人的なつながりもあるのだけれど、その著者自身に熊本市案内をしてもらってるような複雑な心境で、それらも含めてまた心地よい読書体験。

あとがきによると本書は熊本日日新聞の連載をとりまとめた一冊なのだそうだが、1)いわゆる建築関係者以外の人に向けて2)建築とひとのあいだを伝える3)建築をキーワードに熊本の街を読み直すという当初の目的はいずれも果たされているようだ。刊行にあたってスケッチが新たに描き下ろされたのだが、そのあたりの著者の苦悩もあとがき文に満ち溢れているので、本文のスケッチ描線と合わせて楽しめるはず。

連休の人混みを避けて蟄居して読みつつも熊本の地に行きたくなり、さらには行った気にもなれるお得な一冊。

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生賴範義展 THE ILLUSTRATOR 2回目

絶賛開催中の生賴範義展、2回目の鑑賞でございます。

2018年1月6日から2月4日まで開催中。開館は10時より17時まで。期間中無休。

http://www.ohrai.net/

前回も思ったけど、今回ののんさん音声ガイド(550円)は必聴。すずさんの声で静かに語りかけてくる、聴けば聴くほど味が出る名ナレーションです。

さて、今回はデジカメも持参し、素通りしたものも含めて隅から隅まで細かく鑑賞することができました。

生賴タワー、なかでもお気に入りはやはり「幻魔大戦」シリーズ。ハードカバー版の表紙が懐かしい。ウルフガイシリーズのハードカバー版も装丁が豪華。

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特に気に入ってるトクマノベルズ「真幻魔大戦」10巻。金剛杵を掲げる役小角、絵になりすぎる。

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徳間文庫「真幻魔大戦」8巻。宇宙に吸い込まれるジェットライナーの画面構成。

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角川文庫「幻魔大戦」15巻。取り込まれる久保陽子の図。16巻の構図もいい。

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91人の美女が掲載された表紙シリーズ、バイエルンのユーディトとウーセベリのアーサ。長剣などの小道具がいいバランスを生んでますね。

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下絵と完成版の比較が何枚か並んでいたのだけど、この下絵からどう完成版にもっていくのか想像できない。今だったら描画風景を実況できるのだろうけど、生賴先生の時代に実現してなかったのが悔やまれる。もっとも生賴先生は作品に打ち込む風景を容易に人に見せなかったのだろうと思うけど。

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そして今回も「破壊される人間」の前に小一時間座って心身ともに破壊され続けてきました。長く見れば見るほど美しさに溜息が出る不思議な超大作でございます。

生賴範義展 THE ILLUSTRATOR

待望の生賴範義展、東京初お目見え。2018年の正月は実質ここから開始。

2018年1月6日から2月4日まで開催中。開館は10時より17時まで。期間中は無休とのこと。

http://www.ohrai.net/

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初日とあって、1時間ほど前に到着するも数十名の行列ができております。

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「MOVIES」「生賴範義と三人の作家」「ARTWORKS」「SFアドベンチャー」「オリジナル作品」のテーマごとに248点を展示。宮崎での展示に加えて新たに公開された分見られなくなった作品もありますが、より絞り込んできたという印象です。

宮崎の展示で見ることができなかった生賴タワー。圧巻です。

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こちらの面は平井和正コーナー。トクマノベルズ版「真幻魔大戦」表紙とか何年ぶりかといいう感じで。電子書籍になったけど、やはり紙の本もいい。

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おなじみの「スターウォーズ 帝国の逆襲」イラストもいいけど、その前に描かれたこちらの構図が個人的には好き。

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今回の目玉企画のひとつ、平井和正×生賴範義×寺田克也×竹谷隆之「ベガ・プロジェクト」 による超戦士ベガの立像。控えめに言って神々しい。

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--丈、君はなにをしているのだ?

と今にも話しかけてきそうな。

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SFアドベンチャー表紙シリーズ。展示枚数多めで嬉しい。こちらは生賴先生が最も気に入っておられたというパウリナ。足下の一輪の花が丁寧に描かれる。

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今回初めて東京で公開される「破壊される人間」。宮崎の展示では習作は見られたものの、完成品の迫力に打ちのめされる。一日この絵の前で破壊されていたい。

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これも個人的に大好きな「THE DRIFT RINK」も今回展示されていて感涙に咽ぶ。

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そして図録その他も今回大漁に購入しました。観賞した時間よりグッズ販売待ちの時間が長い気もしたけど、初日なので仕方なかったかと。徐々に改善されるのではないかと思われます。

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復刊した「復活の日」早川書房版。

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こちらも復刊した「狼の紋章」「狼の怨歌」。当時のウルフガイ初体験時に味わった強烈な読書記憶が、生賴先生のイラストとの相乗効果で甦ります。

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図録表紙は「果しなき流れの果に」。緑色の宇宙。

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「破壊される人間」図録に未収録かと思ったらなんと裏表紙に特大サイズ収録。舐めるように眺めることができそうです。

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一回の観賞ではとても堪能しきれないのであと3回ぐらいは行く予定です。のんさんの音声ガイド(550円)つきで観賞すればより深く作品世界に浸れることでしょう。

生賴範義「神話 THE BEAUTIES IN MYTHS」NEW VERSION

到着しましたよ。ええ。

http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68326261

復刊ドットコムでのオリジナル特典としてクリアファイルとTシャツつき。

前の画集を購入したのも四半世紀前ぐらいか。感慨深い。今回は後に発見された原稿をもとに加筆されてるそうで、味わい深い一冊に。

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フレデグンデは俺の嫁。

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クリアファイルはパリュサティス、Tシャツはコンスタンスのイラストを使用。

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舐め回すように鑑賞するのです。

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もなかさん17歳祭り

ついに17年目に。

もなかさん16歳祭り

もなかさん15歳祭り

もなかさん14歳祭り

もなかさん13歳祭り

もなかさん12歳祭り

うっかりしてたらだいぶ経過してしまったので誕生日付近の写真を。かめこと仲良し。

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ジャンプ力はだいぶ落ちました。1メートルジャンプによく失敗するように。食欲は順調だけど、さすがに加齢には逆らえず身体のあちこちにがたが出てきている気配。いつまで一緒にいてくれるかわからないけど、飼われ主にできるのは日々愛でることのみ。

長生きしてね。お願いね。 

【映画】ザ・コンサルタント(原題 The Accountant)

移動中の車内でタブレット一人上映会であった。iTunes便利。

主人公は昼間は会計士、夜は凄腕の殺し屋という二つの顔を持つ男といういかにもアクション映画的な設定。ストーリーもわかりやすく、並行した2つのストーリーが最後にからみあってくる。会計士という職業を前半のストーリーでわかりやすく 見せてくれるので、同業者視点としても興味深く拝見。

  • ベン・アフリック演ずる主人公、表情があまり豊かでないのがよいほうに転んでた
  • 主人公のオフィス風景、いかにも会計事務所然としていてステレオタイプな期待を裏切らない
  • 15年分の帳簿チェックは一晩ではできないと思うよ
  • どんでん返しがいくつかあったけどその一つは予想できなかったのでこれはやられた、という感じ

2時間超の作品としては大満足で、続編早く出ないかなというところ。しかし邦題の「ザ・コンサルタント」って原題どおり「会計士」じゃ地味だからだろうけど、財務コンサルタント的な主人公の動きから出したタイトルにしてはちょっとなあという。

生賴範義展III THE LAST ODYSSEY に魂を揺さぶられてきたよ

今年最後の重要イベントでした。

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前回のエントリ

生賴範義展に行ってきたよ

 公式サイト

ohrai.net

2016年12月3日より2017年1月15日まで開催。 宮崎での開催は今回で最後らしい。なぜか周辺の宿泊予約が全滅のため急遽日帰りの強行軍で。移動時間8時間滞在時間4時間となかなかハード。

今年もみやざきアートセンターにて。展示ポスターは「エンディミオン」より。

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「ジュラシック・パーク」でお出迎え。

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お世話になります。

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写真撮影は原則禁止だけど、一部OKエリアあり。で、OKエリアにベガがいた。ベガでかいよ!しかも微妙に立体だよ!

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今回の展示総数は328点。「書籍・雑誌」「広告・映画・ビデオ」「拾遺集」「平井和正」「小松左京」「未完の油彩群」のコーナー別に展示されている。

「広告・映画・ビデオ」では写真と見まがう「HPME MY WAY」の別バージョンが展示されていてこれまた見入ってしまう。

「書籍・雑誌」では「ハイペリオン」「ファウンデーション」シリーズなどおなじみの表紙イラストに加え、これまで公開されてこなかったものが多く今回も新たな発見多し。谷甲州や大藪春彦作品の表紙で未見のバージョンもあり。 個人的にはベスター「虎よ!虎よ!」表紙イラストが拾遺作品として展示されていて感慨無量。

「拾遺集」はこれまで公開される機会のなかったものを中心に。講談社や早川書房から戻ってきた作品が多いそうで。「真幻魔大戦」11-15巻を中心に。「幻魔大戦」10巻モノクロイラストは染みが残っていて残念だけど生原稿を目撃できたので満足。19-20巻のモノクロイラストが展示されててほしかったけど今後に期待ということで。

で、 今回は「平井和正」「小松左京」が独立コーナーで展示されていて、ファン垂涎の内容になっている。撮影もOK。作品世界としては好きすぎて冷静に鑑賞することなどもはやできなくて、この空間にいられるだけで満足してしまう。 特に本邦初の「平井和正ライブラリー」シリーズ表紙(キャンソン紙にパステルで描いたのだそう)はその大きさと色彩感覚に言葉を失う。IMG_0775

こんなに。

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こんなにも。もうね、たまらんですよ。

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ウルフガイシリーズの愛蔵版表紙はローマ風味の落ち着いた色調で気に入ってる表紙のひとつなのだけど、今回の展示ではなぜか7枚。おかしい。8枚のはずなのに。と思ったら「ブーステッドマン」の表紙が展示されてなかった。きー!

 「未完の油彩群」コーナー。題名や年次の不明な作品(未完含む)も多く展示されていたのだけど、そのなかでも壁一杯に展示されていた習作(大作「破壊される人間」の習作らしい)には心の準備ができてなかったのもあって圧倒された。素人目にはこれのどこが習作?という完成度。このコーナーも撮影OKだったので写真もたくさん撮ってきたけどこれだけはぜひ実物を見てほしい。てか実物を見に行かないとだめ。脳味噌をえぐられるような濃い時間。まさに魂を揺さぶられる体験。

さて、今回も図録を含めて山ほどグッズを買い込んできた。

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レジ待ちの間、公式サイトでも告知されていたデジタル複製画に後ろ髪を引かれる。特に「平井和正ライブラリー」シリーズの井沢郁恵複製画から目が離せない。これね。

ぐずぐずしてるうちにレジ完了してしまう。どうするか。決して安くない。でもここで躊躇すると今後入手する機会がなくなるかも。ええい買っちゃえ。ということで4週間後に複製画が届くことになりました。どうすんだ買うって言っちゃったあとだぞ。

2018年に東京での展示が予定されているらしいので、その日に向けてさらに生賴先生の偉業に傅きつつこれから図録を舐めるように鑑賞するよ。