【書籍】建築の森・熊本を歩く

連休に読んだ本。熊本大田中智之先生の初の単著。

熊本市を中心として、35章70点にわたる建築物を探訪語りの形式でさまざまなみどころを解説する一冊。

まず構成が面白い。タイトルに「うつろう」「つむぐ」「のぞむ」といった建築物にまつわる心象のキーワードと、建築物本体(単独または複数)の説明テキスト本文および写真、さらに著者自身によるスケッチでワンセット。本書のどこからでも読めるし、どこから読んでもよい。スケッチは「新宿駅解体」「渋谷駅解体」で名を馳せた著者の手によるものだけあって、構造物の特徴をシンプルなタッチで捉える。

建築という構造物の奥深さを、平易な解説で語りかけてくるので空間素人の自分にもわかりやすい。たとえば

  • 「わかる」水前寺成趣園・熊本県立装飾古墳館
  • 「かさねる」熊本城・熊本県立農業大学校学生寮
  • 「まもる」田中家住宅・牛深ハイヤ大橋

あたりは実際に現地で確認したくなる手触り感の文章。著者とは個人的なつながりもあるのだけれど、その著者自身に熊本市案内をしてもらってるような複雑な心境で、それらも含めてまた心地よい読書体験。

あとがきによると本書は熊本日日新聞の連載をとりまとめた一冊なのだそうだが、1)いわゆる建築関係者以外の人に向けて2)建築とひとのあいだを伝える3)建築をキーワードに熊本の街を読み直すという当初の目的はいずれも果たされているようだ。刊行にあたってスケッチが新たに描き下ろされたのだが、そのあたりの著者の苦悩もあとがき文に満ち溢れているので、本文のスケッチ描線と合わせて楽しめるはず。

連休の人混みを避けて蟄居して読みつつも熊本の地に行きたくなり、さらには行った気にもなれるお得な一冊。

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